どんな布が好き。どんな形が好き。どの糸で縫いたい。どの時間を使う。どこから縫い始める。
ソーイングをしていると、自分は何が好きで、どうしたいかという選択のくり返しです。
私の人生の節目には、いつもソーイングがありました。
はじめは、「好きだけど向いてないこと」に打ち込んで疲弊していた大学時代。
それから、仕事や子育てに追われて自分がなくなっていると感じていたとき。
今でも、自分ではコントロールしようがない、人や出来事に向き合いながら生きている日々の中で、ソーイングのことを考えている時間はただ、自分は自分であると感じられます。
こつこつやる、その度に無心になれる。一呼吸おけば、また日々を頑張れそうな力が湧いてきて、自分自身や周りを取りまく人やものを受け入れる余裕も出てくる。
「こつこつぽけっと」とは、いわば自己受容をもとにした自己肯定へのプロセスです。
ソーイングを「やりたい」という気持ちがあることを認めていて、
思うように時間がとれないときも、その気持ちを忘れずに大切に持っておく。
こうしたい!という希望に向かって、たくさんの自分の「好き」を選びとり、小さな工程をふむたびに「できた」を重ねていく。
そうした達成感を糧に、合間の時間を積み重ねてできた作品を手にしたとき、何ものにもかえがたい喜びを感じられます。
ソーイングには、自分を知って、選んで、作った作品をいいなと思うたびに、作った自分そのままを「いいんだ」と愛せてしまうような、そんなパワーがあると私は信じています。